2006/10/05(木)キラークイーン 感想(1)

キラークイーンの製品版を知人から借りることができたので早速プレイしてみました。
どうやら、シナリオは複数あるようでシナリオをクリアする毎に増えていくタイプのようです。今回は一番最初のシナリオである「キラークイーン」の感想などを。

プレイ時間総数は8時間程度、シナリオ分岐はなし。
以下、ネタバレあり

舞台設定

体験版のプレイ時の感想でも語りましたが、舞台設定は巧妙に組み立てられていると感じました。

ゲームの参加者達の勝利条件は3日と1時間の生存であり、参加者達に付けられた首輪により舞台となる廃墟のエリアが徐々に進入禁止アリアとなり、ゲーム開始から72時間後には全エリアにわたり進入禁止エリアとなる。各参加者にはそれぞれ異なる首輪の解除条件があり条件を満たした状態で首輪の解除があるというルールなのですが、このルールだけ見ると「首輪の解除」=「ゲームの勝利」と安直に考えてしまいます。

しかし、実際には首輪を解除せずともゲームの勝者となることができる仕組みが用意されています。そうした仕組みが用意されているにもかかわらず安易に殺し合いに走る参加者達の様子を楽しむというのがこのゲームの意図であり、また考案者の性格の悪さが垣間見えます。

次に、先ほど説明したようにこのゲームはあくまで観戦者たちの「娯楽」であるため、この「娯楽」として作用させるには事態を膠着させないようにさせる必要があります。しかし、混乱させやすい状況を用意するだけでいきなり殺し合いをさせたりするにはなかなか難しいという問題があります。
こうした問題を解決し、参加者達を疑心暗鬼に囚われるように誘導したり、極端に参加者が減ってしまわないようにコントロールするような人間である「ゲームマスター」を参加者として送り込みこのゲームが娯楽として成立するようにコントロールする人間の存在がいることも良くできています。

シナリオとか

体験版の感想でも語りましたが、主人公は過去の経験から自分の未来に対する執着というものがありません。このため、自分の生死にも執着が無く、むしろ死にたいとさえ考えています。
しかし、自殺することはできない為、他の参加者を助けた上でその結果として死ぬことを望んでいます。

これは、一見すればとても素晴らしい考えをもつ人間という風にもとれますが、他の参加者の事を大切に思っているわけでもなく、自分が「死んでもいい理由」の為に動いているだけというような考え方です。
自己犠牲を美化させず、他人を助けた上で自分も助かる方法を模索するというのがこのシナリオのテーマであると感じました。

また、この手のシナリオでは参加者たちが疑心暗鬼に囚われてしまい、その疑心暗鬼から相手を過大評価し、そうした虚像を恐れるが故に自分の手を汚してしまうところがよく描かれています。逆に自分に置かれた状況を楽観視しすぎると自分の身が危険にさらされてしまうので、仕方がないといえば仕方がありませんが。
シナリオではこのような相手を信じることの難しさがうまく描かれており、このあたりはひぐらしと通じる部分がある気がします。

総評

舞台設定・参加者達の苦悩や疑心暗鬼に囚われていく様子などをうまく描いており、非常に面白いストーリーであると感じられました。
本シナリオは「Killer Queen」という名前が付けられており、このシナリオをクリアすることで「And There Were None」というシナリオがプレイできるようになるのでこちらも楽しみです。こちらはきっと「Killer Queen」ではろくな活躍もできないまま脱落していってしまった人たちがきっと活躍してくれるでしょう。